先月末、「東京都盲ろう者支援センター」が台東区に開設された。
目と耳の両方に障がいのある「盲ろう者」の生活、社会参加の支援等を行う、全国の自治体で初の試みである。
彼・彼女らの象徴的存在ともいえる福島智東京大学教授も、オープンを祝福。
時同じく、福島さんの評伝、母・令子さんの手記が、相次ぎ出版された。
福島さんは9歳で光を失い、18歳で音を失った。この闇と沈黙の苦悩から福島さんを救い出したのは「手」であった。
母の考案した「指点字」である。福島さんは歌う。
「ぼくの指にきみの指が触れたとき/そこにことばが生まれた/ことばは光を放ちメロディーを呼び戻した」
「ぼくの命はいつもことばとともにある」(生井久美子著『ゆびさきの宇宙』岩波書店)。
聞けなくても、読めなくても、触れれば、言葉は生まれてくる。
言葉はたくましい。“言葉と命は一つ”――福島さんの詩に粛然とする。
御聖訓には「仏は文字に依って衆生を度し給う」(御書153ページ)、
そして「声仏事を為す」(同708ページ)とある。
今の世の中、嘘の言葉、人を傷つける言葉が多過ぎないか。
だからこそ、私たちは、真剣な言葉、誠実な言葉、励ましの言葉で、
「生きる勇気」を吹き込んでいきたい。(09.06.30) (飛)
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