大相撲が始まった。日本人力士が勝てないもどかしさは置くとして、物言いについて一言。と言っても物言いの内容ではなく、物の言い方について。
「行事軍配は○○に上がりましたが、△△の足が先に出ていたのではないかと物言いがつきましたが、協議の結果、同体とみて取り直しといたします」
変な日本語だ。説明する検査役はどの人も決まってこういう言い方をする。「……が」は前後の言葉をつなぐ接続助詞だが、この場合の「が」は逆接であって、一文に二度使うと文意が乱れる。
何も難しいことはない。二度目の「が」の手前で切るだけでいい。 「行事軍配は○○に上がりましたが、△△の足が先に出ていたのではないかと物言いがつきました。協議の結果、同体とみて取り直しといたします」
これだけのこと。
検査役は力士出身だから言葉を知らない、まあ細かいことはいいじゃないか、と気づいていてもみんな許しているのか。外国人力士出身ならまあしょうがないけれど、検査役はどなたも日本人だ。日本語が変な形で定例化しているのは気になる。私は検査役がマイクをとるたびに「またかな」と聞き耳を立ててしまう。
「番数も取り進みましたるところ、かたや○○、こなた△△、この相撲一番にて、本日の打ち止め」などと、行司は古式に乗っ取り美しい江戸言葉で口上を述べているのに、物言いでずっこけさせないでほしい。
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