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Ryo爺の独り言

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老妻の“初優勝”に刺激されて  
名前:Ryoji    日付:2017/10/5(木) 7:58
10月1日に開かれた全道女流囲碁選手権(北海道新聞社主催)で妻が初優勝した。男子の全道囲碁選手権は高校生の17歳が、女子はわが老妻70歳が頂点の座を占めたので、その対比に話題性があったのか、翌日の朝刊には3紙面に記事が出た。で、いつもは静かな老人宅に、祝福の電話が何度も鳴り響いた。

最初、妻に囲碁を教えたのは私である。勤めを持っていたころ、机を並べていた隣の同僚がなかなかの強豪で、昼休みになると碁を打つのが日課だった。他の同僚も周囲を取り囲み、傍目八目でささめを入れる、昼食後の恒例行事のようだった。職場の大会でトロフィーを得たこともあるが、負けると悔しくてしょうがない、あのときあそこに打てば、といつまでも後を引く。自分が情けなくて寝られなくなる……。

勝負事は身体によくない、平穏に暮らしたい自分には向いていない、と思った。それで人事異動で職場が変わってからすっぱり止めた。その代り、子供のころから好きだった読書に専念するようになった。これは腹が立たないし、本さえ開けば、どんな世界にも行け、どんな人にもなることができる。想像の翼を広げるほうが世界が広く、深いと思うようになった。

妻の碁は公民館の初心者講座に通ったのが始まりで、習い始めは面白くてしょうがないらしく相手を求めてくる。私は碁に興味を失っていたが、やむなくテレビを見ながら適当に石を並べて見くびっていたら、不思議にもめきめき腕を上げてきた。そのうちテレビを消して真剣に向うようになり、いつか真剣に向っても負けてしまうようになった。やる気がなくても負けると腹が立つ。負けばかり続いて相手をするのが嫌になり、私は書斎に引きこもって読書に耽るようになった。それが自ら小説やエッセイを書く行為に繋がっていった。

高名な漫談家の言葉ではないが、あれから40年、妻は飽かず碁を打ち続けた。勝負だから勝ちもするが負けもする。そういうとき耐えられなくなる気持ちをどうやって克服しているのか。夫婦も長年経つと空気のような存在になって、このごろは深い会話を交わしたこともない。道新の記者の問いに「70歳になってやっと優勝できた。うれしいよりも恥ずかしい」と答えている。これまで切れることなく精進してきた姿勢には、わが妻ながら感心せざるを得ない。

執筆活動から身を引いた私の、現在の興味は木彫である。ところが70代後半に到って、ここ2年ほど納得できる作品ができていない。彫り慣れた材料の入手が困難になり(クルマを廃車したことからなおさら)、技術的に高度なものを求めても大型工具や機械が使える環境にないこともあって、しだいに創作意欲を喪失。時代の流れと自分の力量に限界を感じ、もはや潮時と北海道美術作家協会を退会してしまった。

今回、妻の快挙によって、何か感じるものがあった。木彫を遊び半分の時間潰しとして彫るのでは面白くない。自分の限界を極める域までまだ到っていない、己の存在証明としての作品を生み出す起死回生の手立てはないか。老いという諦めを振り払って、もっとあがいてみよう、と。


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