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海音寺潮五郎掲示板
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182.海音寺さんと大岡さんの論争  
名前:tsubu    日付:2009/5/18(月) 22:0
皆さん、こんばんは。

海音寺潮五郎さんと評論家の大岡昇平さんが、雑誌『群像』誌上で論争を行ったことは、海音寺ファンの間では知っておられる方が多いと思うのですが、先週末図書館に調べものに行った際、その論争記事を閲覧し、初めて読む機会を得ました。

大岡昇平さんは、いわゆる論争家で(ふっかけ家とも言えますが^^;)、過去に作家の井上靖さんとも論争したことがあるそうですが、大岡さんは海音寺さんの小説『二本の銀杏』や『平将門』、『悪人列伝』といった史伝に関して厳しく批判しました。
そのため、『群像』誌上で両者の論争となったのですが、これがなかなか面白かったです。
(面白かったと書くと、お二方に対し失礼かもしれませんが……)

少しだけ私の感想を書きますと、『二本の銀杏』に関して言えば、これは完全に大岡さんの読み込みの浅さが目立っていると思います。
大岡さんは『二本の銀杏』のことを不倫をテーマにした、非常に浅薄な大衆向けの小説という風に判断を下していますが、それはちょっと違うのではないでしょうか。

また、大岡さんは海音寺さんが史伝の中で、「ぼくはこう見る」や「ぼくはこう考える」という表現を使用しているのは、海音寺さんの慢心からくる一つのエゴだという風に批判されています。
つまり、「俺はこんなに知っているんだぞ。スゴイだろ」というような心が海音寺さんの文面から見え隠れしているという風に解釈しているのです。
これはどうでしょうか?
私的にはどうも大岡さんが言いがかりをつけているだけのようにも感じました。
海音寺さんの史伝文学は、その作品の中に海音寺さんの顔が見えることもその魅力の中の一つだと私的には思うんですけどね。

この論争は『群像』昭和37年8月号に掲載されてありますので、ご興味のある方は図書館等で閲覧されてみてはいかがでしょうか。

※海音寺さんの著作『さむらいの本懐』(文春文庫)所収の「作家と歴史観」というエッセイに海音寺さんがこの論争についてほんの少しだけ触れています。



183.Re: 海音寺さんと大岡さんの論争
名前:モモタ    日付:2009/5/19(火) 21:43
こんばんは。tsubuさん、貴重な情報ありがとうございます。

大岡氏との件は私も興味がありながらも、いつか調べようと頭の片隅に置いたままで果たせずにいました。
ご教示いただいた『群像』昭和37年8月号も読んでみたいですが、tsubuさんの書き込みでおおよその内容は想像できた気がします。

海音寺潮五郎さんはご自身の作品の事を様々な場面で語られているのですが、大岡氏はそれをご存じなかったのかもしれませんね。

まず『二本の銀杏』ですが、これを単に不倫がテーマと捉えるようでは確かに理解が浅いですね。海音寺潮五郎さんは、幕末から昭和初期までの世相を作品を通じて表現したいとの意図を持ってこの作品を書いたと述べています。
いわゆる不倫にあたる「夜這い」の習慣も、当時の薩摩では普通にあったことだそうですので、これを描かない方が不自然になってしまいますからね。

次に、史伝に出てくる「ぼくはこう考える」ですが、これは純粋に海音寺潮五郎さんがご自身の歴史解釈を示すために使用している表現です。海音寺潮五郎さんが書かれているには、歴史上の事件やその関係者の行動の動機などについては明確な証拠が残っていることの方が少なく、そうでない事柄については解釈でいくよりほかないとのことです。
そこで海音寺潮五郎さんは独自の歴史解釈を提示することで、それを世に問うているのです。もし、自分の解釈よりも合理的で説得力の強い解釈が提示されれば、それに従うこともあると海音寺さんは述べていますので、そうした意見が出てくることを期待している面もあるのだと思います。

想像だけで勝手に書いてしまいましたが、『群像』を読むのが一層楽しみになりました。


184.Re: 海音寺さんと大岡さんの論争
名前:tsubu    日付:2009/5/20(水) 17:26
モモタさん、こんにちは。

私もモモタさんと同様に、この論争については頭の片隅にあったのですが、なかなか調べる機会がありませんでした。
先日、久しぶりに図書館で調べものをする機会があったので、ふとそのことを思い出し、ようやく念願の記事を読むことが出来たというわけです。

お二方の論争ですが、かなりヒートアップされていて、お互いに罵りに近い言葉で応酬されています。
特に、海音寺さんとしては、身に覚えのない言いがかりをつけられたという不快の念をかなり持っておられたことが文面から読み取れるほどです。

『二本の銀杏』については、大岡さんの読み込みの浅さが根本的な原因だと感じられますが、元々大岡さんはこの手の話が好きではないのでしょうね。
おそらく初めから嫌悪感をもって読まれているから、あんな酷評になってるのだと思います。
また、大岡さんは『二本の銀杏』の中に出てくる武家屋敷の構造についても批判されているのですが(大岡さん曰く、間取り的におかしいと言われてます)、それに対して海音寺さんが、北郷家の間取りを自筆で図にしておられます。
これは『二本の銀杏』を読んだことのあるファンにとっては、とても嬉しい貴重なものだと思います。
是非、モモタさんにもご覧になって頂きたいです。

海音寺さんの史伝に出てくる「ぼくはこう考える」については、まさしくモモタさんのおっしゃられるとおりだと僕も思います。
海音寺さん自身も、この論争の中で同じような観点から反論しておられます。
海音寺さんは、従来の定説や解釈、そして自らが調べ上げた膨大な史料、これらをよくよく検討した結果、ある一つの結論に達したことについて、「(私見ながら)ぼくはこう考える」と書いているのであって、大岡さんの言うような意図はさらさら無いと思うのですが、大岡さんはどうもこの表現が鼻について仕方がないみたいですね(苦笑)。
読む人によって、こうも解釈が違うのかと私自身も少し考えさせられました。

http://www.page.sannet.ne.jp/ytsubu/


185.Re: 海音寺さんと大岡さんの論争
名前:モモタ    日付:2009/5/21(木) 19:32
tsubuさん、こんばんは。

今回書き込んでいただいた内容で、つながりました!
『武将列伝』の解説を司馬遼太郎さんが書かれていますが、そこに登場する逸話がこの件だったのですね。そうだろうとは予想していましたが、これではっきりと裏がとれたと思います。

tsubuさんは当然ご存じと思いますが、『武将列伝』の新装版では「江戸篇」、旧版では第6巻に司馬遼太郎さんの手による解説が書かれていますが、大岡氏との一件に関する部分を抜粋しますと、

--- ここから

 先年、文壇の論争家が、氏の『二本の銀杏』だったかの中に出てくる薩摩郷士の暮らしをみて、家屋としてここに書かれているような郷士屋敷があるはずがない、と毒づいたことがある。典型的な薩摩郷士の屋敷の中でうまれた氏に対して仕掛けるにはどうも愚かしすぎるリアリズム論争だと思ったし、ここであらためてそれを思いだすのも物憂いほどである。薩摩では、知覧でも枕崎でも加治木でも、いまなお江戸時代の郷士屋敷でくらしている人が、いくらでもいるのである。

--- ここまで

とあります。
「文壇の論争家」も形無しに切り捨てられてしまっていますね。司馬さんから海音寺さんへの、さりげない援護射撃ととらえてもいいかもしれませんね。

重ね重ね貴重な情報ありがとうございました。出来るだけ早いうちに『群像』を読んでみたいと思います。


186.Re: 海音寺さんと大岡さんの論争
名前:tsubu    日付:2009/5/28(木) 17:45
モモタさん、こんにちは。

モモタさんの書き込みを拝見して、はたと気づきました。
そうでしたね、『武将列伝』の司馬さんの解説の中にそういった一文がありましたね。
私、完全に忘れてしまっておりました(^^;
司馬さんがお書きになられた通り、薩摩の郷士屋敷の構造について、鹿児島出身の海音寺さんにとやかく講釈をたれたのは、余りにも愚かしい行為だったと思います。

私も日本全国各地の武家屋敷をこの目で見てきましたが、薩摩の武家屋敷は少し特殊です。
薩摩藩は人口における武士人口比率がとても高かったため、そのほとんどが半農半士といった者が多く(特に郷士連中は)、いわゆる他藩で見られる武家屋敷とは構造的に異なっています。
庭を畑にして芋や野菜を植えたり、鶏を飼っていたりと、他藩の武士が決してしないような生活様式の武士が多かったので、建物も農家の屋敷に少し毛が生えたくらいのものが多かったのです。
そういったことを知らずに、大岡さんは噛みついたので、海音寺さんもかなり怒られたのでしょう。
『二本の銀杏』と舞台とされる海音寺さんの故郷の大口には実際の郷士屋敷がいくつか今でも残っていますね。
例えば、北郷家のモデルとなった有村家は、現在も茅葺屋根の郷士屋敷が現存しています。
ただ、内部は非公開みたいで、私はいつも大口に行った時に、外から羨ましそうに外観だけを眺めてました(笑)。
いつか実際に内部を見てみたいですね。

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