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藤原雄一郎のクルーズワールド理論編

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258.那覇のスーパースター・リブラ号  
名前:桑原    日付:2008/5/9(金) 18:13
 実は先の連休を利用して那覇に行ってきたのですが,その主目的は首里城でも海洋博公園でもなく,スーパースター・リブラ号の寄港風景を一度見てみたかったという特異な(笑)ものでした。
 最近は横浜や大阪など日本に寄港する海外クルーズ船も多くなってきましたが,はるばる遠い日本までやって来るロングクルーズ故に乗客も裕福なご年配を中心とするそれなりの人達ばかりで,「海外クルーズ船 = 上流階級の乗り物」というイメージが日本人の大多数をクルーズから遠ざけているという皮肉な結果を招いているのではないかと考えていました。しかし一方で,リブラ号を中心に台湾や中国などの一般庶民が 3〜5 日のショートクルーズで頻繁に来訪する那覇では,もしかするとクルーズが身近なものと認識され海外クルーズ船の日本発着便への気運も盛り上がっているのではなかろうかという淡い期待があって,それが今回の那覇港見物の動機だったわけです。

 まあ,結論から先に申し上げますと,その「淡い期待」は見事に打ち砕かれることになるわけですけど(笑),たまたま那覇ハーリー最終日で市民の関心が専らそっちに向いていたのか,それとも毎週やって来るリブラ号などさして珍しくもないのか,市民の反応はあくまで無関心のようでした。接岸場所も 10 号岸壁という一般市民が寄り付かないコンテナ埠頭のそのまた奥地で(参考図),岸壁の周囲 500 m 四方の広大な平面を厳めしい SOLAS 柵が覆っていました。つまり,客船見物しようにも船から 500 m より先には近付けないわけで,見物に来た市民はもちろん港を散策する乗客も付近には見当たらず,ただ荒涼な大地にタクシーの長い列が連なっているという異様な空間となっていました。
 計画中のクルーズ専用岸壁が完成すれば少しは様子が変わるかも知れませんが,建設予定地の海上を見てもそれらしい構造物は全く見られず,果たして 2009 年の完成予定に間に合うかどうかも分かりません。むしろ現場では空港に直通する海底道路の方が大々的に工事が行われていて,公共事業としてもクルーズは関心の埒外にあるようです。
 一般にクルーズ船の寄港にはどの土地でも歓迎ムードで盛り上がるものだと思っていましたが,もしかしてこの地ではクルーズがあまり歓迎されていないのではないのかと勘繰りたくもなります。もっともこれはクルーズ側にも問題があるようで,寄港する度に国外逃亡者が出るとか,船が寄港する日には付近の商店で万引きが横行するとかいった,あまり芳しくない噂も耳にします。実際に乗船したことがないので本当のところは分かりませんが,リブラ号の乗客層は欧米の大衆クルーズ船とはかなり異なる傾向にあるようにも見受けられます。クルーズの大衆化は大いに結構ですし,若い世代も含めクルーズを身近なレジャーとして受け入れている台湾や中国の一般庶民には日本人ももっと見習うべきだと思いますが,クルーズの大衆化が行き着く先はクルーズの本質よりもむしろその大衆が属する国の国民性や風習に支配されるということは覚悟すべきなのかも知れません。

 さて,もしリブラ号を撮影したいのでしたら,先に述べたような理由で岸壁からの撮影はあまり適していません。撮影を目的とするなら港に入航しているところを泊大橋の上から撮影するのが良いでしょう。また,泊港から出ている離島航路のフェリー船上からなら,停泊中のリブラ号をかなり良いアングルで捉えることができます。
 そういえば,沖縄滞在中に泊港から渡嘉敷島にフェリーで渡ったのですが,船上で外国人観光客(多分シンガポール人かインドネシア人)がリブラ号を発見して,「スタークルーズ」とか言って喜んでいたのを目撃しました。これが私が遭遇した中で唯一停泊中のリブラ号に関心を示した一般人だったわけですが,それが那覇市民ではなく海外からの旅行者だったというところが,何だか現在の日本におけるクルーズの現状を象徴しているようでもありました。



259.クルーズフェリー飛龍
名前:桑原    日付:2008/5/9(金) 18:18
 今回の那覇行きのもう一つの目的として,かつて沖縄航路のクルーズ化で一世を風靡した(?)クルーズフェリー飛龍に乗船したかったというのがありました。

 「クルーズフェリー」という名称が示すように,同船は太平洋フェリーのようにフェリー航路のクルーズ化を目指す国内屈指の豪華フェリーとして建造されたものでした。実際に就航当初は貨物航路や生活航路としてのみならず観光航路としての利用者も多く,貨物需要のない年末年始や行楽期には上海クルーズや屋久島クルーズなどの企画クルーズやツアーでかなり盛り上がっていたらしいです。しかし,1999 年に運航会社が経営破綻してから合理化によるサービスの縮小を余儀なくされ,現在では航路の存続すら危ぶまれているという不遇の船でもあります。
 2 等も含め全室トイレ・シャワー付個室という客室群と,ホールやバーなど充実した公室群からなる,一般のクルーズ船にも匹敵する船内設備を特徴とし,当初は夜毎のショーイベントはもちろん,船内プールを利用したダイビング講習ツアーを企画したりするなどかなり意欲的に船旅の魅力をアピールしていたそうです。残念ながら現在ではそれらユニークな施設の多くは閉鎖されてしまい,サービス体制も大幅に縮小されたため,かつてのような華やかな雰囲気は見る陰もありませんでした。

 ただ,サービスを縮小したといっても,フェリーとしては上等な部類に入ることに違いはなく,雑魚寝苦行が当たり前の沖縄航路の中にあって唯一まともな船旅が体験できる船なのではないでしょうか。外観こそは錆だらけで見すぼらしくなってしまいましたが,船内の手入れや清掃は行き届いており,外甲板も総木張りでフェリーとしては充実しているので,船内では快適に過すことができました。食事も上等とは言わないまでも,料理の丁寧さではオレンジフェリーにも引けをとらないと思います。
 那覇船籍の船ということもあり船内には沖縄の伝統的な装飾品が数多く見られ,レストランのメニューにも沖縄料理が用意されるなど,船に居ながらにしてすでに沖縄気分を味わえるというのも船旅ならではの楽しさと言えるでしょう。足掛け 3 日間にも及ぶ長い航海でしたが,行きは黒潮を避ける陸寄り航路のため四国や九州など太平洋沿岸の景勝地を満喫でき,退屈することはありませんでした。

 そのような優れた船が経営危機に陥ったのは,1990 年代頃から激化した航空機のダンピング競争が主な原因だそうで,旅客収益に大きく依存していた同船は乗客が航空機に流れていったことで最も大きなダメージを被ったらしいです。クルーズ業界だと乗客目線に立った営業が大切だと繰り返し言われますが,海運業界の場合乗客目線に立った会社の方がむしろ苦境に立たされていると言うのが実に皮肉なことです。
 クルーズフェリー飛龍の辿って来た苦難の道には,日本におけるクルーズ事業の困難さが浮き彫りになっているような気がします。日本でクルーズが普及しないのには様々な理由が挙げられていますが,そもそも日本人が何故に旅行の手段として船舶を毛嫌いしているのかその謎を解き明かさない限り,関係者がいかに努力しようとそれが報われることはないでしょう。

 ちなみに,本当は帰りも姉妹船のクルーズフェリー飛龍 21 で帰りたかったのですが,GW 運休のため止むなく航空機を利用しました。しかし,当然の結果として実に窮屈で味気ない旅の締めくくりとなったのは言うまでもありません。仕事や所用で沖縄に行くなら速くて安い航空機を利用すべき理由はありますが,プレジャーやリフレッシュにお金と時間をかけるべき観光の手段として航空機の利用というのはやはりミスマッチなのだと実感せずにはいられませんでした。


260.Re: 那覇のスーパースター・リブラ号
名前:藤原雄一郎    日付:2008/5/10(土) 7:45
長文のレポありがとうございました。

クルーズで寄港して一番ガッカリするのは港が辺鄙な、交通不便なところにある時です。その上歓迎行事もないとすれば、一体何のために来たのか!!その点長崎や鹿児島はとても楽しいです。

>クルーズの本質よりもむしろその大衆が属する国の国民性や風習に支配されるということは覚悟すべきなのかも知れません。

それはまさに正鵠を得ていると思います。せっかくの楽しいイタリアの風も台無しにするほど強烈な・・・
初めての外国船がヴァーゴでした。あれから結構経験を積みましたので、今の時点で乗船して、どのようなものか確認して見たいです。

それからクルーズフェリー飛龍 21 は残念ですね。こことは現役時代ちょっとした縁があって、有村社長とはお食事をしたこともあり、一度乗船したいなと思う間に年月が経過して忘れてしまっていました。

あの有村さんは今どうしておられるのでしょうね。東日本フェリーの蔦井社長さんも辛い目にあわれたのでしょうね。


261.Re: 那覇のスーパースター・リブラ号
名前:桑原    日付:2008/5/10(土) 14:28
 さしずめ日本でクルーズを大衆化するとしたら,団体向けの温泉旅館のような雰囲気になってしまうのでしょうか。そういえば,さんふらわあ登場時の豪華フェリー全盛期には,船内は浴衣 OK というのが当たり前だったと聞きますし,現存する国内クルーズ船とは別に,そういった層の乗客を受け入れる船の必要性は否定できないでしょう。

 ちなみに,クルーズフェリー飛龍の有村産業は会社更生法により裁判所が任命した管財人が社長をやっていて,残念ながらかつての経営陣はすでに退陣しているとのことです。しかも,石油高騰の煽りでその再建計画自体が行き詰まっているらしく,中古船相場が高騰しているうちに持船を売り抜ける以外にもはや選択肢が残っていないという絶望的な観測が大勢を占めているようです(関連記事)。
 一方の東日本フェリーはパンスターラインという良いパートナーを得たお陰で,光明が見えてきたのではないでしょうか。6 月にはパンスター社にクルーズ用として傭船していたハニー号を平日だけ借り戻して日韓航路を開設するそうで(関連記事),今後の展開次第では新たなクルーズの可能性も期待できます。


262.Re: 那覇のスーパースター・リブラ号
名前:藤原雄一郎    日付:2008/5/10(土) 18:50
>さしずめ日本でクルーズを大衆化するとしたら,団体向けの温泉旅館のような雰囲気になってしまうのでしょうか。

多分そうなるでしょうし、それはそれで良いと思います。それにしても有村さん、何と言って良いものやら・・・

東日本にしても残念無念です。


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