三馬鹿 診療所 F
「ワンちゃんが〜」小さな女の子が お母さんに手をひかれ 泣きながらやってきた 今日の患者は 手強そうや ごまかしがきかん〜 きょうも波乱の 三馬鹿診療所の回診がはじまりました
へんなオッサン オバハンなら なんぼでも PAD所長のフンドシ姿 見せるとか 撃退方法はあるんやけど 純真な子供となると 心に響くもんがないと難しいんや こうなると 竹やんか 乙やんの出番やな〜 クーにも応援してもらわんと 〜
永年 可愛がってた ワンちゃんがなくなったらしいのです 女の子の胸の中は 悲しみでいっぱいです 寿命と聞かされていても それでも 悲しみは つぎからつぎから 溢れてきます しあわせだったころを想い出して・・
いっぱい泣いたらいいんだよ・・ ワンちゃんのために・・ ムリに止めたりはしません泣きたいだけ泣かせてやります おかやんやPADさんは オロオロ ハラハラですが 竹lやんはゆっくり女の子を見つめています 悲しみ 苦しみの数なら 売るほど経験してる竹やんの強みです オハコです・・ 失恋や ふられたときの経験ならPADさんも負けへんけど そんなんやおまへん
ひとしきり泣いた女の子の顔をペロリ・・ クーがなめにいきました 女の子の目に 笑みがもどってきました もう大丈夫です 次はどうするのでしょう 竹やんも愛犬をなくした経験があるので 女の子の気持ちも よくわかるのです 竹の愛犬は10歳でなくなりました 滅多に吠えることもなく いつもニコニコでした 子供たちにも人気があって・・ でも散歩の途中 心臓麻痺で倒れたのです
抱き上げて連れて帰った竹ですが 愛犬はあっというまに冷たく固まっていきました 15分くらいだったでしょうか でも最後にもう一度名前を呼んだとき死んでるはずの 犬が首をもちあげたのです それから夜中まで 竹は泣きました 愛する親のときでも これほどの涙は出なかったと おかやんはいまだに言います
竹はクーに 見せてあげてと頼みました 小さくワンといって クーは壁の画面に 映像を映し出しました おんなの子の大好きだった犬が映っています 笑顔です お礼のメッセージを 伝えたかったようです 寿命いっぱい 可愛がられた喜びと これからも 見えないけど いつも一緒だよと そしてこれが自然 悲しまないでと
女の子も診療所のみんなも 見えない世界のあることを実感して立ち尽くしています そうなんです 犬も人も 寿命を全うして幸せに逝けば 同じステージにたどり着く のです 逆にいつまでも こちらで悲しめば むこうでも安らげないのです
人間も一緒です 心切り替えて またイキイキと元気に生きていく姿を見せるのが なによりの供養なんです 今日一日無邪気な子供のように 笑って生きていくことが 大人も それに気がつけば 幸せな穏やかなときを 紡ぎはじめられます
ヨロヨロ ポテ・・ クーの子供が入ってきました 8匹のうちの一匹 暑いインドから 帰ってきた子犬です 「これ欲しい〜」女の子が抱きつきます 子犬もうれしそうです こうなると もうだれも止められません 幸せな春がまた始まりそうです・・
117CTKP.ctktv.ne.jp
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