ハンチントン病(舞踏病)や脊髄(せきずい)小脳変性症などの神経難病の原因となる異常なたんぱく質の構造を、大阪大大学院医学系研究科の永井義隆助手(神経病学)と戸田達史教授(遺伝医学)らが発見した。異常なたんぱく質が病気を引き起こす構造へと変化するのを防ぐ治療薬の開発につながる成果といい、米科学誌「ネイチャー・ストラクチュアル・アンド・モレキュラー・バイオロジー」(電子版)に3月19日、掲載される。 ハンチントン病など神経難病の患者は国内に数万人いるとみられるが、有効な治療法はない。アミノ酸の一種のグルタミンの数が大変多い異常なたんぱく質が、その構造を変化させた後、脳内の細胞に蓄積して発症すると考えられているが、詳細は分からなかった。 永井助手らは、グルタミンの数が多い異常なたんぱく質を溶液中で構造解析。異常たんぱく質が蛇腹のような「βシート」構造に変化し、異常たんぱく質を数多く結合させ固まりを作ることを突き止めた。βシート構造の異常たんぱく質が細胞に毒性を持つことも判明。「QBP1」と呼ばれる分子がβシート構造への変化を阻害することも確認した。 永井助手らは「QBP1を応用すれば治療薬の開発が期待できる。アルツハイマー病やパーキンソン病などでも同様の構造変化が発症の原因と考えられ、新薬開発につながる可能性がある」と話している。
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