「PD患者の6割以上が初診時に的確な診断を受けていない」
東京都で開かれたプレスセミナー「PD患者・介護者の実態調査結果を発表」で順天堂大脳神経内科の服部信孝教授が報告したもので、全国パーキンソン病友の会の協力を得て2007年2〜10月に首都圏と静岡県に住む132人に訪問調査を行なった。 それによると患者の6割以上はPDと診断されるまでに2〜5か所の医療機関を受診している。
PDと最初に診断した科は神経内科が70%以上を占めるが、診断確定までに受診した科は内科約50%、整形外科42%で、患者も適切に診療科を選んでいないと分かった。 服部先生によれば「治療が3〜4年遅れれば重症度が1度悪化する」とのことで、PDの早期治療は良好な予後を得るうえで重要だという。
患者が改善したい症状は、震え(21%)、すくみ足(18%)、無動(17%)、固縮(13%)でこれらの症状はいずれも薬剤で50%以上が改善される。しかし寝返りがしにくいとか嚥下障害の症状は50%前後が改善されなかった。 幻覚、痛み、便秘、頻尿などの症状はいずれも6割が改善しなかった。
患者から医師に言いたいことは ・ 患者の話をよく聞いてほしい ・ 症状や治療方針を教えてほしい ・ 担当医が頻繁に変わると困る などが多く、医師の技量や専門性よりも信頼関係についての不満が多い。
介護する側とされる側で考えていることにすれ違いがあるようである。
*介護者の気持ち ・ 今後の病状が心配 ・ 体重を支えなければいけない ・ 患者の言いたいことがわからない ・ 自分の動きを患者のペースに合わせる
*患者が介護者に対する気持ち ・ 将来の不安を介護者に感じさせている ・ 自分のペースに動きを合わせてもらえない ・ 精神的肉体的苦痛を分かってもらえない ・ やりたいことを分かってもらえない
この報告での服部先生のコメントは 「迅速な診断体制の確立のために、専門医以外の医師もPDへの理解を高めてほしい。 病院単独や介護者個人の問題としてではなく、日本全体としてPD患者の要望を明らかにし診療体制を改善していきたい」
メディカル トリビューン 2008年9月11日号より
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