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19.アメリカの遺伝子治療における事故の影響  
名前:モンセルヴァン ハトポッポ    日付:2007年11月7日(水)
自治医大での遺伝子治療の開始はpd患者に大きな希望を与えるものですが2007年9月にこの治療を受けた患者の一人に前頭葉の遅発性出血という事故がおきたことが報じられました。一日でも早い遺伝子治療法の実用化を願う患者の家族としては、臨床研究の遅れが心配です。これに関連して7月頃話題になった遺伝子治療先進国アメリカでの死亡事故のことを思い出し、その影響が実際どうなったかをネットで調査してみました。見落としや理解不足があるかもしれませんし、かなり長くもなりますが、今の時点で分かったことをまとめてみました。
1.新薬の臨床試験を規制しているFDAのサイト(http:www.fda.gov)には、7月26日に発表された患者一人の死亡事故以後新しい事故のニュースはでていません。また、この事故にたいする対応としても、7月26日付けの声明文(http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2007/NEW01672.html)の他には何も公表されていませんでした。
2.このFDA声明文を読みますと、死亡事故はリューマチ性関節炎の遺伝子療法の治験中に起きたもので、開発している会社(Targeted Genetics社)もこれまで名前の出ていたPDの遺伝子療法を開発している会社とは違います。しかし、どちらもAAVという遺伝子の運び屋を使うところが共通しているため、FDAはこの会社やNIH(国立保健研究所)などの研究機関と協力して死亡原因の究明を急ぐとともに、AAVを使う全ての遺伝子治療の治験を『再検討』(review)することにした、と記載されています。この『再検討』が、進行中の治験をすべて中止させて行うものか、それとも中止を伴わない再検討なのか不明確でした。
3.また死亡原因の究明については、集まった研究データを9月開催のNIHの『組み換え遺伝子専門化会議』で検討することが予告されていました。
4.ここで予告されたNIHの専門家会議は実際9月17日に開催され、その一部始終がビデオで公表されています(http://www4.od.nih.gov/oba/RAC/meeting.html)。非常に専門的で理解が追いつかないところもかなりありましたが、4時間半に及ぶ詳細な検討経過の大筋は以下のようでした。(ア)死亡被験者(36歳の白人女性)は長期にわたるリューマチ性関節炎の患者で、これまでの多剤薬物療法に加えて遺伝子治療の治験を受けており、また真菌の一種のヒストプラズマ感染症の顕在化が起きたこと等が加わり、死亡原因の特定が複雑で困難なケースに該当。(イ)後腹膜出血、重篤な肝障害、凝固性の低下などの血液障害が死に繋がり、肝障害にはヒストプラズマの関与が見られた。感染しても通常は悪さをしないヒストプラズマ症が悪性化した原因としては、被験者が副作用として免疫機能抑制作用を持つ薬を服用していたことが考えられる。(ウ)遺伝子治療のため関節内部に投与されたAAV-rTNFが死亡原因であることを示す証拠はでていないが、その可能性を完全に否定するには今後さらに究明を必要とする点が残っている。(エ)遺伝子治療治験の安全性をさらに高めるため、遺伝子治療治験の対象疾患の範囲、被験者の選定・排除基準、治験中の継続の適否判定などの面で治験ガイドラインの一部改正が望ましい。
5.結論として、死亡原因の完全解明には至っていないものの、AAVを使う遺伝子治療そのものが原因で死亡した可能性は比較的薄くなったような印象でした。そこで、ずばりこれまで許可されていたPDの遺伝子治療治験が現在どのような状態にあるかを知るため、アメリカでの全ての治験を網羅しているデータベース(http://www.clinicaltrials.gov)を検索してみました。対象疾病名と会社名を入力して事故のあったリューマチ性関節炎の治験を検索したところ、「FDAにより中止」と明記されていました。次にPDとこれまで名前の挙がったCeregene、Neurologix社の組み合わせで検索したら、Nurologix社のAAV-GADを用いる第I相試験は「完了」、Ceregene社のAAV-neurturinを用いる第II相試験は「被験者募集中」となっていました。Genzyme社のAAV-hAADC-2を用いる第I相試験(自治医大の研究と類似)についてはFDAから治験中止の通知が出されました。
ただし、前述のNIHの専門家会議の検討結果を受けて、今後は治験ガイドラインの一部改正に向かうことが予想されます。改正の目的には被験者の安全性をさらに高めることが含まれ、結果的に治験の期間と費用がこれまでより増加するような内容となる可能性があるため、新たに計画される遺伝子治療の治験に多少ブレーキがかかるかも知れません。
なお、Ceregene社のホームページではGenzyme社との提携合意が発表されていて、アメリカとカナダを除く海外での開発実用化は専らGenzyme社が担当することになったと報じられています。今後同社の日本での開発努力に期待したいところです。(2007年10月5日)

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