金融庁は28日、保険会社の財務の健全性を示す「ソルベンシーマージン比率」の基準をより厳格に変更する骨子案を発表した。健全とされる比率を維持しながら昨年10月に経営破綻(はたん)した大和生命のケースを踏まえ、リスクをこれまでより大きく見積もる。基準の厳格化で、同比率は大手生命保険会社で約半分、損害保険会社で約7割に低下する見込み。金融庁は12年3月期決算から適用する方針だ。
改正案では、保険会社が保険金支払いに備えて積み立てている責任準備金の一部について、ソルベンシーマージン比率引き上げを目的にするような資本算入を制限する。また、保有する金融商品などのリスクをこれまで以上に大きく見積もり、証券化商品では損失が発生するリスクを従来の2倍に見積もることを求める。
破綻した大和生命のソルベンシーマージン比率は08年3月期で555%と、金融庁が改善計画の提出などを命じる早期是正措置発動の基準(200%以下)を上回っていた。同庁は、保険会社には猶予期間内に資本増強など対応を求めていく。
国内生保の09年3月期のソルベンシーマージン比率は、トップクラスの明治安田生命が1098%、日本生命が904%。最低水準は朝日生命の583%、三井生命の602%。半減しても、200%を下回る生保はないが、下位クラスは余裕がかなり失われる。厳格化基準が適用されると、財務内容の良しあしの差がさらに鮮明となって契約者の不信を招きかねず、早急な資本増強を迫られそうだ。 毎日新聞
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