皇居のお堀(壕)でおもしろい光景を見た。最初は何をやっているのか皆目分からなかったが、数百m離れたその作業のベース地点までたどり着いて、ようやく理解することができた。
環境省職員によるお堀に生息する「ブラックバス」の駆除である。電気ショッカーボートで水中に電気を流すと、魚が麻痺して浮いてくるので、このうちブラックバスだけ網ですくうのだ。電気ショックのみでは魚は死なないため、一緒に浮いたフナやコイはしばらく放置しておけば蘇生する。この日の収穫は、稚魚を中心に300匹ほど。(写真)30cm級の大物もあり、職員達が釣り人がするように記念撮影をしていた。
皇居のお堀には、関東地区では絶滅危惧種のジュズカケハゼはじめ、コイ、ゲンゴロウブナ、ギンブナ、モツゴ、トウヨシノボリ、ヌマチチブ、ナマズ、ウキゴリ、テナガエビなど10数種の在来種が住んでいるが、近年侵入したブラックバスのため、ジュズカケバゼやモツゴが絶滅寸前という。このため、環境省は5年計画で「皇居外苑濠移入種駆除対策」に取り組んでいるらしい。
しかし、皇居のお堀に限らず「外来魚」バッシングには小生は疑問を持っている。そもそも固有種と言っても、元を辿れば外来種である。人為的に持ち込まれたからけしからんと反論するなら、人間も自然の一部であることを忘れてはいけない。人為も一種の自然の営みなのだ。お堀の中に住んでいる方だって、千数百年前のルーツは半島か大陸でしょうという議論を今日はする気はないが、生物学的に厳密な意味で固有種なんて存在しない。
ジル・ドゥルーズの弟子であるリシャールピナスのライブ以来、構造主義とその周辺の勉強をし直しているので、構造主義生物学的にブラックバスの駆逐を考察してみたい。
1976年、イギリスのネオ・ダーウィニストであるリチャード・ドーキンスは、「利己的遺伝子」という論文を発表し、これまでの進化論に新しい見解を提唱した。 ドーキンスは、生物個体は遺伝子の「乗り物」であるという。遺伝子は自分のコピーをより多く残すために乗り物を作り、その乗り物が環境の中でうまく生き延びられるように操作するというのである。 未来まで生き続け、増殖しようという意志を持って振る舞うのは、生物の個体ではなく遺伝子であり、我々個体は遺伝子に利用されているだけなのだ。
なぜ、我々は死に遺伝子は次世代に残るのか?答えは簡単である。遺伝子=DNAの最大の敵は、ウイルスである。ウイルスは自分で増殖できず、DNAに潜り込んで増殖していく。DNA側から見れば、いつまでも同じ形をしていると、ウイルスに侵入され攻撃されるため、一定期間ごとにDNAの構造を変えるべく、個体にセックスをさせて自らの構造をシャッフルするのである。
(次回に続く)
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