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『ホツマツタエ大社』
ホホホ、よう来たのう〜。そなたもホツマツタエ大社の萌え神様へ参拝に来たのであろう?ここは萌え神様が降臨する場所であるといわれておる。なお、言い伝えとはいえ、ここでSSを奉納すると投下SS技能として裏技能のあがるやも知れぬ。もちろん時には萌え神様の上の○○大魔人も降臨するかも知れぬぞ。ああ、いい忘れておったが、表には書けぬというSSもここには投下自由じゃ。何なりと奉納するがよかろう。奉納した者は自分のサイトに自分で奉納したSSの掲載も可能じゃ。気が付いた時には技能があがっているやもしれぬぞ。ではゆるりとすごされよ。

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157.こっそり奉納。速水生誕SS(汗)  
名前:恭一    日付:10月6日(月) 23時54分

 ぽつ、ぽつ。
 ゆっくりと闇が広がる世界を、空の端から光の消えていく世界を、忌み嫌うかのように大地には光が増えていく。



 夏はもう既に過ぎ去った10月の初め。
 夜になって吹き始めた風は冷たく、少年の髪を梳いては空に還っていく。
 彼は一人、けして綺麗とは言い難いヒビ割れたコンクリートの上に腰を下ろして、遠く山が連なるのが見える景色を青の瞳でじっと見ていた。この辺りでは比較的高い場所にあるその高校本校舎の屋上からは、存外広い場所が見渡せる。
 その中で、ぽつり、ぽつりと光が増えていく。
 表情の無いその顔からは、何の感情も伺えない。


 あの中一つ一つ、見た事も離した事も無いけれど、『誰か』が存在している。
 そんな事を初めて気にしたのは、彼が今の名前と誕生日とその他彼自身を証明する物を手に入れてからだった。
 それまでは、自分以外の『誰か』というのは全て、自分を虐げる存在でしか無く、そうでなかったときも朧げにあったような気がするのだけれど、思い出せない思い出は最早なんの救いも無く、ただ煩わしい気持ちばかりを刺激する。だから、自分以外の『誰か』が、自分を虐げる事も無く、ただ当たり前に『どこか』で生きているのだと、そんな事を理解するのは、今になってからだった。
 何も知らない、他人。
 関係無くて、忌まわしいようでもあって、けれど何処か縋りたいような気もする不思議な存在。
 他の誰かが当たり前のように普通に生きているのであれば、もしかしたら自分も何時か当然のようにその中に入っている事があるのかもしれないと思うと、今そしてこの先に痛みがあるのだとしても、耐えられるような気がするのだ。
 速水自身には分からなくても、彼が今見ている世界の中では、そんな『何の変哲も無い日常』を過ごしている誰かがいると、人の姿が見えなくても、増えていく灯りが教えてくれる。
 それはもしかしたら、灯りの主を見るよりもはっきりと、他者の存在を彼に知覚させた。




 この。
 名前と、誕生日と、その他色々彼自身を証明している元となる存在も、元はそういう中に生きていた。




 彼が、それらを奪う際に調べた沢山の事は、調べたその時にはただ、記号と情報の羅列でしかなかったのだ。四角い機械の中に並ぶ0と1から生み出された沢山の言葉のように、本来それらが持っているはずの本質的情報を、少年はその時読みとる能力は無かったから。
 当たり前に生きて来て、不幸にも命を落とした、戦時下の中ではあまりに多くいる他者の一人である事を、彼がようやく理解したのは今の場所に来てからだった。
 世界にはそんな、守るべきものが溢れているのだと、教えてくれた少女によって気づかされた。




 存在する時点で既に、守るべき者だった誰かからその存在した証を奪って生きている自身の原罪。





 増えていく光を幾つ守れば、あの綺麗な少女の高潔な魂の一片にでも手を伸ばせるようになるのだろう。
 どうすれば、存在しているだけで続いていく原罪の贖罪が可能になるのだろう。
 最近はそんな事ばかり、ぼんやりと景色を眺めるようなこんな時間には考えるようになった。何処かで自分が進むべき方向性を見出してから、余計にその思考は不意の時間に頭を掠める、それは、彼が成すべき事とはまた別の、彼自身が自分で決着を付けるべき事だったから。

 今日。
 彼は、誕生した事を祝われた。
 祝われた事それ自体に全く不満はなかったし、おめでとうと言われた事は、自分自身を肯定してもらえたようで、嬉しい事だった。

 だが、本来この日を祝ってもらえる筈だった存在は既に亡くなっていて、日付だってその人の者で、速水自身は自分が何処から生まれ存在し続けているのかなど知らないのだと。
 祝われる事で、再認識した。


「僕は守るよ」

 許しを請うなど傲慢な事は出来はしない。
 かといって勝手に代理となる何かを誓うというのも、傲慢である。
 だからこれは意味の無い宣誓であると、思いながら少年は増え続ける光一つ一つに語りかけるように、呟いた。

「僕はきっとこの世界を守る。速水厚志は、世界を守るんだ」

 その名。

 もう記憶の奥にしかない、出会った時には物言わぬ躯でしかなかった存在に、彼は告げる。




「誕生日、おめでとう。うまれてくれて、ありがとう。であってくれて、ありがとう」




 いつか行く場所で、君に憎まれる覚悟はもう、出来た。

158.恭一 > お久しぶりです。やっちまいました・・・萌え神様、萌えSS技能を下さい(汗) ( 10月6日(月) 23時56分 )

名前 内容

154.こっそり更新「招待状」  
名前:ゆっきー    日付:8月23日(土) 10時18分
思い出は時に残酷でやさしいと誰かが言っていた。

もうすぐ「彼」が結婚するのだと聞いている。承知しているはずなのに、招待状に出席と丸をつけることをためらう自分がいた。

「うち、なにやってるんやろうな」

加藤祭は肩に跳ねる毛先を指で絡ませながら、それをみていた。
招待状には当然結婚する二人の名前がある。
4月の吉日にきめられたその日は、自分が彼に初めて会った日でもあるのだ・・・。

どうして忘れられるのだろう。
陽だまりの樹の下で、まるでおひさまみたいに笑う彼は、初めて見た時はものすごく頼りなく見えた。
女の子にもにたその相貌は、ある意味話しやすく、でも、ある意味異性として見るには難しいとおもった。
だから「ぽややん」だといわれるのだけれど・・・。

速水厚志・・・絢爛舞踏の称号をもち、呼吸するように幻獣を闇にかえす士魂号のパイロット・・・そして、芝村の姓をもつもの・・・そして・・・。

私が愛してしまった人だ・・・。

155.ゆっきー > 最初に意識したのは・・・・たしか自分が小隊司令室で物資のリストをチェックしていた時だった。
戦闘の後で、まだ戦況もこちらに不利な時だったから、物資の調達が思うようにいかなかった。
そんな自分に「加藤さん、よかったらこれを使ってくれないかな」と言ったのは単なる気まぐれだったのか・・・今となってはすべてただ一人の少女の為なのだとわかるのだけれど、その時の自分はそんなことを気づきもしなかった。

「ほんまにええの?速水君あとで10倍返ししてくれっていってもうち、知らんよ?」そう言って笑って金の延べ棒をうけとった。

「大丈夫・・・もうすぐ加藤さんがこんな風に苦労しないで済むようにするから」
そう速水君が笑ったから、冗談だろうとおもっていたけど、本当にその後、多くの戦闘において戦果を残し、戦況はいつの間にか優勢になっていた。

物資も5121小隊に面白いように集まってくる。それが全て、速水君が手配していたというのを知ったのは、ずいぶん後になってからだった。
そして一緒に作業を手伝ってくれたりするうちに、気づけば眼で追っている自分がいた。
一度聞いたことがある・・・。
「速水君は、今好きな子いてるの?」
速水君はその時じっとこっちを見て。
「気になる子はいるよ」といった。
( 8月23日(土) 10時55分 )
156.ゆっきー >

自分の顔が赤く染まるのを感じながら速水君を見ていたときから自覚させられていた。
「ああ、うちはこのひとが好きなんや・・・」と。

今思えば・・・その「気になる子」が自分でないと気付くまで、うちが心を惑わさせられることになるんだけれど。

あるとき
「なあなあ、速水君。今度の日曜にほんまに速水くんちに遊びにいってもええの?」

社交辞令だとわかっていても、遊びに来ていいよと言われてしまっては聞かずにはいられない。
ましてや芝村舞や東原ののみがすでに家に行っていたと聞いては心中穏やかにはいられない。そんな自分が嫌だった。

「えっと・・・散らかってるかもしれないから掃除してからならいいよ」

と速水君はいつものぽややんとしたスマイルで応える。
「ほんまにええの?じゃあ、絶対約束やぶったら許さんよ?」

その時は「いいよ」といった意味もわからないままただうれしくて待ち遠しいだけ日付が変わるのが遅く感じて・・・そんな自分にどこか苦笑いしていたのだった。

そして速水君の部屋に初めて訪れたその時、うちは初めて速水厚志を知った・・・。
( 10月2日(木) 0時25分 )

名前 内容

153.最近ご無沙汰しているお詫び  
名前:ゆっきー    日付:7月10日(木) 23時33分
すみません、ホツマツタエ大社のほうにかいています。
最近はパソコンが触れない環境で携帯しか毎日動かせません。
とりあえず、喫茶店でバイトして、そして司会者養成指導をがんばる毎日です。
投下SSなどをすこし

「厚志・・・そこはまだぬれていない」
「駄目?もうさっきから何度もしているから僕つかれてきちゃった」
「こら、かってにやめるな!わたしはっ・・・その・・・こういうことに不慣れなのだ・・・そなたの協力が・・・必要だ・・・」
潤みかけた瞳と汗ばんだ肌で速水に訴える舞の姿に、速水は急にのどのかわいをおぼえ、生唾をのみこんだ。
「あのね・・・まい・・・僕のどがかわいたんだけど、のんでいい?舞のこれ・・・」
「そ、それはさっき・・・いや、そなたが望むなら・・・その」
そういってためらう姿に厚志はペットボトルを受け取ると間接キスとなるのを承知で紅茶をのんだ。咽喉に染み渡るのも無理は無い今は34℃もある。
「そろそろ乾くかな・・・次何処ぬろっか」
「ペンキであちこち塗るなど芝村に課せられた試練と思えばらくだが・・・わたしはこういう経験がないからな」
「あはは、いいよ。僕がぬってあ・げ・る。ほらかして」
仲良くペンキを壁にぬりながら、厚志はおもった。
(いっそベッドの上ならって奥様戦隊だったら思うんじゃないかな)
木陰ではその秘密行動中の3人がくやしげな表情でささやきあっていた。
「やっぱり写真ではほのぼのとした作業シーンですね」
「あら、この部分の音声はなかなかいいわよ、善行」
「しかし、速水・・・気付いていたんでしょうかね」
「ふふふ、だとしたら策士ね」

暑さに負けず作業はそのあと1時間続いたらしい。

名前 内容

151.恭一様よりお茶会に投下SSです!!  
名前:ゆっきー    日付:6月29日(日) 20時56分
いっしょにいてくれるよね、と問いかけて来た少女に、否と答える事など出来る筈もなかった。その大きな目が溢れ出す涙を止めようともせずそのままにしていれば、尚更だ。是、以外のどういう返事が残されていただろう。仮にあったとして、何度同じ場面を巡ってもそれを選ぶ事は無いだろう自分を知っている。

恋でないことなど分かっていた。ましてや憧れや、親愛ですらないことも分かっていた。そこに在るのは真っ直ぐな迷いであり悲しみであり不安であり激情で、本来向けるべきだろう相手に気づいていないのか見失ったのか、どちらにせよ少女は今、彼を見ていた。これまで同じような場面を経験した事は何度かあったけれど、ここで是を選ぶのは初めてである。今までは、逃げていた。本当にその問いをして欲しい相手は、とうにいなくなっていた。

手を伸ばせば、少女が縋り付くように飛びついた。だからそのまま抱きしめた。少女が求めているのは自分ではない事を知っていたけれど、抱きしめる事を許されている事も知っていた。頭を撫でても、これまでに見せてくれたような笑顔は見えなかったけれど、構わなかった。最早少女は守るべき幼子ではなくなっていて、だからこそ守らなければ壊れてしまうかもしれないと彼は思う。
 早過ぎた。幼い心には早過ぎたのだ。何もかも。けれど時は止まってくれず、少女はこの先も生きていかなければならない。だからこそ、彼は受け止める。
(欺瞞だ)
心の中で叫ぶ。
(これは、ただの偽善だ) 
叫びを閉じ込める代わりに、笑う。
(必要なのは、俺だ) 
求めているのは、必要なのは、傍に居て欲しいのは、一人になりたく無いのは。
(俺なんだ!!)
 幼い少女にすら縋らなければならない程に弱っているのは彼の方で、少女の嘘を利用しようと思うのは彼の方で、結局の所そこにあるのは優しさでも愛しさでも安らぎでもなく、ただ求めるものに手を伸ばせない臆病な心が差し出す逃げ道でしかない。けれどそれを考えたく無かったから全てに蓋をして、彼は腕の中に収まった幼子を抱きしめる。
歪な形。おかしな結果。その先にあるものなど、考えるまでもなく、幸福である訳がない。それでもそれに縋らなければ生きていけない現実を、恐らく互いに知ってしまったのだろうと彼は考える。
(互いに?)
そんな筈はない。彼は、何も見つけていないし何も知らない。
(俺は、ただもう独りに耐えられないだけなんだ)
その筈だ、と言い聞かすように。
(絶望はもう厭きたんだ)
二人ならきっと耐えられる。その為に少女を道連れにする。なんて傲慢な理由。

152.ゆっきー >
大人であれば、もっと他にやり方があった。諭す事も出来た。
けれど選べるもの全てを投げ捨てて、互いに利用する事を選ぶ、それが彼の限界を示していた。何故そこまで追い詰められてしまったのか、彼自身分からない。それこそ気の遠くなるような、星霜に例えられるような時間を過ごして来て、何を今更耐えられないなどと愚かしい我が儘が吹き出すのか、分からない。

(本当は、気づいてんだろ)
気づかないフリを続けるのは、気づきたく無いから。
(でも、それでいいんだ)
あまりに時間が経ち過ぎた。一からまた始めるには、あまりに恐ろしすぎる。終わりが全てハッピーエンドになるなどと、御伽話を信じられる頃はとっくに過ぎてしまった。もし、もしもそれ以外になったらどうすればいい。そんな事には耐えられない。言うまでもない。
(だからこれでいい) 
抱きしめた体は温かい。光のような魂がその裡に脈打っているのを感じる。その傍で生きている自分の姿に安堵する。そうしてようやく目を開けられる。
(俺は、もういやなんだ)
長い時間で彼は弱くなった。一人である事に慣れると同時に、独りに戻る事に耐えられなくなった。気づいてしまえば、その孤独は命すら差し出しても惜しく無い程に恐ろしいものとなっていた。
 もしも、特別な相手に拒絶されたら? 受け止めてもらえる保証など何処にある?
(そんなものどこにもない!)
そうして独りになってしまったら?
(嫌だ!)
どうしようもない一人なら耐えられるし耐えて来た。どれだけ長い時間でも耐えられた。でも
(嫌だ嫌だ!)
長い時間をかけていたのはたった一つの邂逅の為で、けれどそれが果たされるなど、何故自分は信じられたのだろう?
(だって、彼女は覚えていない)
何故分かってしまったのだろう? 気づいてしまったのだろう? 知らなければ良かった。だから見ない知らない気づかない目を背ける。そうしないと生きられない。求めるなんてもっての他だ。なくしてしまったら生きていけない。
(今更、それでも生きていたいなんて)
だけど、少女に求められるなら、必要とされるなら生きていける。此処に居る意味を見出せる。
互いに傷を舐め合う? いいじゃないか何が悪い傷付いているのに癒そうとする行為を否定する方が間違っている生きていくなら!
(そこまでして生きていきたいなんて)

いっしょにいてね。少女の言葉は、そのまま彼の願いだった。



恭一>・・・・・・う〜わ〜・・・・・・・・・やってしまった感、ありまくり、ですね(汗) 一応補足します。これ、あけくる、です。つまりあの2人です。単品でも読めるようにと思いつつかいたのに、これだけだとエラい痛い内容に(涙) (06/29(日) 03:34 )
ログ流しにはちと不適切な感じも残りますが、今夜はこの辺で逃走させて下さい。では! (06/29(日) 03:35 )
( 6月29日(日) 20時52分 )

名前 内容

148.恭一様より投下SSですわvv   
名前:ゆっきー    日付:6月7日(土) 15時19分
どうしても許せない事がある。
それがどんなHEROであったって、全ての物事を赦せるなんていうのは結局御伽話でしかないと思うのだ。それは、自分自身の勝手な思いであったけれど、だから自分はきっとHEROにはなれないと知っている。
事実、なれなかった。

「例えば、だ」

「うん?」 

隣にいる少年は、まだ成長途中の幼さの残る顔で見上げてくる。その細い双肩に、よもやこの世界の平和がかかっているなど・・・・・・本当に愚かしい現実だった。

「お前さんは、芝村舞が誰かに殺されたとして、その相手を赦せるかね?」 
その例えに、何か想像したのだろう少年は顔を歪めてみせた。少しだけ間があって、そして、答が返る。
「それが、舞の意思ならば」  
固い声であるが、その回答は、所詮『最悪』を知る事の無い理想的回答にした思えなかった。少なくとも、彼には。 二人が居る公園の中には他には誰もいない。
話をするのなら、他にも適切な場所は色々とあっただろう。
それでも、何故かこの場所で二人はたまたま出会って、特に用があった訳でもなかったけれど、どちらともなく公園のベンチに座って、世間話をした。その延長線で、こんな話をしている。

数日前、少年が絢爛舞踏となった事が大きな要因である事を、彼は自分で分かっていた。大人げないと気づいていたけれど、言葉は止まらなかった。
自分には出来なかった。
だから、他の誰かが出来ると、思えずに。

「本当に、出来るのか?」 

だから更に問いかけた言葉に、返ってきたのは思わぬ暗い顔だった。

「舞の意思なら、僕は、どんな事だって出来るよ」 
それを、強い光に照らされた故の暗く濃い影であると、分かってしまうのは彼自身同じであったからだろう。自分の意思より優先すべきものがある。
それは歓びであり、罪悪である。

「舞が、それを僕に望むなら、幾らでも、誰でも、僕は赦す」

自身が存在しない、それはある意味、殉教者でもある。殉じるものが、ただ一人であるか、神と呼ばれるモノであるかの違いでしかない。
そんな心が成立してしまうその裏側に少年の生い立ちの闇が見えてしまって、昔HEROになり損ねた彼はただ痛みを抱いた。
それがどれだけ身勝手な感傷であるか、本人が一番良く理解している。

「じゃあ」 

そして、殉教の向こうにある地獄も。

「もし、芝村舞が望んでいるか、分からなかったら?」 

形でもって、記憶でもって、意思が残されているならまだ良い。もしもそれが何も無いのだとすれば、先にあるのはただ・・・・・・古に繰り返された殉教と言う名の様々な史実が、脳裏によぎる。それらの殆どは、血塗られている。

「そうだね」 

ゆっくりと、少年の口の端が上がった。その様をただ、見た。

「分からなかったら、僕は、僕として、望む事をするしかないよね。だって、その時にはもう芝村が何処にも居ないのだとすれば、僕は、もう誰の言葉も信じる事は無いしね」 

声は酷く穏やかで、真昼の公園の中に相応しい柔らかな静けさが残るものだったけれど、その先には真赤の世界が見えて、彼はゆるりと頭を振った。
今脳裏に浮かんだ世界を必死に切り捨てた。
余りに生々しい、終わりの無い地獄。



続き↓

149.ゆっきー > 一つ間違えればそれは彼が引き起こす未来であり現在だった。
偶々そうならなかったのは、彼にはかの人の言葉の記憶が、願いの痕跡が自分の中に残されていたからだ。それだけの猶予がその死までに存在していたからだ。
だが、通常 死というものは、余裕も無く襲い来る。

願いなど儚く現実の前に散る。

「僕は、舞を殺してしまう世界なんて、いらないよ」 

にっこりと、微笑みと共に少年は世界を切り捨てた。
世界とは、その程度なのだと、笑った。

「あぁでも、舞は、この戦争が終わる事を望んでいるから、それは、してあげるけどね」 

その過程で、その先で、どれほどの血が流れようとも、最早責めるものなど誰もいない。
この公園の中で見えない未来を嘲笑う少年には、唯一の善悪の規範である少女が既に存在していて、その天秤が壊れてしまえば、ただ思うままに世界を弄ぶのだろう。
物心つかない子どもの如く。 はぁ、と溜め息が零れてしまった。

「今の内に姫さんに遺言状でも書いてもらおうかな?」

「馬鹿だね。舞は、そんなものを書かない。芝村は、そんな未来を仮定して言葉を残したりしない」 

即時に返された言葉は確かにその通りな内容で、遺言状など残している芝村など、それだけでもう芝村である事を否定しているようなものだった。
ならばもう方法は一つしか無い。

よいしょ、と彼は立ち上がる。
その仕草がおっさんくさいと、誰かに言われたのをふと思い出した。
くさいもなにも、中身はそんな形容をさらに超えているのだから、ある意味仕方ないじゃないかと、表向き苦情を申しつつも苦笑している自分が居る。

年長だからといって、出来る事など所詮説教臭い話くらいなのだ。幾つになっても、無力を噛み締める。何時になっても、足りない。

「じゃあ、お前さんがするべき事は一つだ」
「何?」
「姫さんと、もっと一緒に過ごすと良い。色々出かけて、話して、時間を過ごすべきだろう」 

自分が世界に地獄を齎さなかったのは、結局あの人の言葉があったからだ。
言葉が残ったのは、あの人と多くの時間を共有したからだ。多くの話をしたからだ。それに縋るように、こんな所まで生きてきた。それを幸福と言うのかは、知らない。

だが、自分が態々壊さなかったこの世界を、あの人が望んだこの世界を、他の誰かに壊されるのは、癪である。

「そうかな」
「そうだぜ」 

まだ出会って二ヶ月もないだろう少年少女。それでも、沢山の時間を過ごせば、あるいは、この殉教者が壊れられない理由を、かの少女が与えられるかもしれない。まるで砂丘で一粒金を探すような希望であったが、奇跡とは常にそんなものだ。だから。

「じゃあ、行こうかな」
「あぁ、そうすればいいさ」 

ひょいっと立ち上がった少年の、まだ小さな背中を、祈るように見てしまうのは、自分が既に舞台の中の住人でないと理解しているから。
多分これから本当の世界を知るだろう少年の祈る神が消えない事を、彼はただ祈った。祈る相手がもう、存在しなかったとしても、祈らずにいられなかった。

*******
恭一様ありがとうございました!!
ダークな雰囲気もシリアスもイイですね!!
なんか反芻しちゃいます。

瀬戸口隆之くんと速水厚志くんの公園に似つかわしくないような会話がなんともギャップがあって、しびれます。
( 6月7日(土) 15時30分 )

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146.初めての奉納ありがとうございました。ということで続き書いてみました。  
名前:鈴音    日付:5月17日(土) 23時28分
「みっちゃんおはようなのよ。」

笑顔で自分の前に立つののみを見て中村は自然と笑顔になっていた。
ののみの笑顔、その無垢な笑顔を見るだけでどうしてこんなにも幸せな気分になれるのだろうか?
しかも今日はののみと2人一緒に今町公園で楽しい時間を過ごそうと約束している。
今からとても楽しみだ。
が、しかしそんな中村のささやかな想像もののみの次の言葉で霧散するのである。
ののみは自分と別方向から歩いてきた茜を見る。
そして・・・

「だいちゃんおはようなのよ。」
「あ、ああ。」
「え〜っとののちゃん。」
「なぁに?」
「そのちょっと聞きたこつあるけん。よかばい?」
「うん。」
「その・・・今日はののちゃんと俺と一緒に過ごす予定だったばいね。」
「うんそうだよ。」
「じゃあなんね、どうしてここに茜がおると?」

ののみは中村の質問に何故か驚きの表情を見せると、至極当たり前と言わんばかり笑顔でこう言う。

「え〜っと、ののみ昨日だいちゃんに聞いたの。【お休みはどうしているの?】ってそうしたら【休日は部屋に籠って本を読んでる】って言ったのよ。たまには外で過ごした方がいいじゃない?だから」
「・・・///」

茜は何故か顔を赤らめた。
(この【天使の皮を被った悪魔めっ!!!】)

「えへへっ♪ののみが誘ったのよ。今日公園に行くからだいちゃんもいっしょにどうぞって!」

ののみの言葉を聞いた瞬間の中村の心の声は勿論・・・

(この世の神とやらは俺にどうしてこんなにも冷たか〜!どうしてデートのじゃまをすると〜!!!)

「みっちゃん?」
「あ、う・・・」
「だめ・・・ですか?」

ののみの大きな瞳が潤んで見える。
速水の【子犬のように潤んだ瞳】も殺人的に威力はあるが、ののみのそれはまさに天下無敵。
こんなかわいい子に必死にお願いされたら、どんな悪人でも首を横に振ることはかなわないだろう。

「ののちゃんがよかならば・・・うっ・・・俺はよかと(心泣)」
「ほんとぅ!?みっちゃんありがとうなのよ!!!」

中村の言葉を聞いてののみの顔に新たに、否、先ほどよりも3割増で【笑顔の花】が咲き、勢い余って中村を抱きしめる。
そんな2人の姿を鼻であしらい茜は促す。

「公園に行かないなら俺は帰る。」
「行く行く〜、ね!みっちゃん・・・」
「お・・・おぅ・・・」

目的地、公園に向かい道を歩く。
何故かののみの隣には茜の姿がありまるで自分が居ないかのように会話を弾ませる。

(これではまるで俺はお供、もしくは引率者、否、弁当を作ってくれた良い人・・・俺の夢は・・・ののちゃんとの甘い休日は一体どこに行ったとや〜!!!)

顔には笑顔を、心では涙を流し、この時中村は強く激しく茜に【復讐】を誓うのであった。

**********

お邪魔しちゃいます。
奉納なんて大した代物でもないのですが、ありがとうございました。
ということでちょっと続きを書いたので勝手に載せちゃいます。

・・・って感じで【茜に嫉妬する中村】的話にしました。
続きは【WEBで】(またかよ!)
妄想の続きで【公園編 中村と茜の仁義無き小姑?バトル】もなきにしもあらずなので。
まあ御注文?はクリアしたからこれでいいか(笑)
それにしても【熊本弁難しかぁ〜(号泣)】

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144.鈴音様よりお茶会投下です〜奉納させていただきました  
名前:ゆっきー    日付:5月17日(土) 3時22分

ゆっきー > 茜にデートを誘われて、何気にお弁当とかつくってて、中村が言えないけど嫉妬していたりするとか。そんなののちゃんいかがっすか〜 (05/17(土) 02:25 )

■■■

鈴音 >

それはある日曜日のこと。プレハブ校舎1階に設置されている食堂兼調理場からはとても良い香りがしていた。

食堂兼調理場には朝から中村の姿があり鼻歌を歌いながら弁当を作っている。
弁当の依頼主は彼のお気に入りの少女【東原ののみ】恐らくこの弁当を持ち2人で近くの公園でゆっくりとした時間を過ごすことになるだろう。
そんな想像をするとおのずと鼻歌も出てくるというものである。

が、しかしこの世にはよいことなんてそうそうありはしない。
待ち合わせ場所校門前9時。中村は出来上がったばかりの弁当が収められているバスケットを持ち校門に立っていた

この場所は尚敬高校の生徒そして曲がりしている5121小隊が頻繁に待ち合わせをする場所である。
中村まつこと数分。まっすぐの道からののみの姿が見えた。

そして反対の横道からは何とあの半ズボン金髪ナルシスト茜大介が歩いてくるではないか。
このままでは校門前ではち合わせをしてしまう。どうなる中村・・・



鈴音 > 続きは【WEB】で!(笑) (05/17(土) 02:36 )

145.鈴音 > (続き書いてみた) ( 5月17日(土) 23時26分 )
150.ゆっきー > 遅ればせながらありがとうございます!!鈴音様からのSSですね。さて続きは・・・? ( 6月7日(土) 15時31分 )

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141.恭一様よりお茶会に投下SSです  
名前:ゆっきー    日付:5月7日(水) 2時0分
彼女がその会社に入ったのは、友人である少女からの勧誘という部分が大きかった。そして普通の会社よりも遥かに優れた人材が集まってくるその高名な会社の中では、それこそ入ってみて分かった事ではあったけれど、能力に不足があると言う点において長続きするように思えなかった。それは、彼女自身の謙虚さからくる認識ではなく、その時点では正しく自分自身を見る事が出来ていたのは間違いない。

但し、彼女は一つだけ忘れていた。多くの点においてその組織の中で劣る部分があるかもしれない彼女であったが、それでも幾つか、特筆すべき優れた能力を持っていたのだ。故に、彼女は入ってしまったその会社を直ぐに追い出される事は無かった。配属されたのは、秘書課・・・・・・大企業芝村の中でも、最も過酷として有名な部署であった。
-
音も立てずに部屋の中に入ってきた壬生屋未央に、部屋の主である芝村舞は口元だけで自身の感情を表現してみせる。満足しているという事を、気づけるのは側近である極一部の者達のみである。まだ15にも満たないその少女は、去年代表取締役という歳に不相応な役に就き、しかし見事な結果を出してきた傑物でもあった。壬生屋未央をこの社に呼び寄せた本人でもある。

壬生屋未央は優美な所作で持ってきた日本茶を、音を立てないまま芝村舞のデスクのあいた場所にそっと置いてみせた。「少し、お休みされては如何ですか?」「・・・・・・まだ、大丈夫だ。それよりも」 芝村舞は、見入っている画面から視線は外さないままで、手元にある書類の一つを壬生屋に差し出した。茶の封筒に入っている書類を、壬生屋は素直に受け取る。「目を通すが良い」

「何でしょうか?」「今度、やってくる専務取締役だ。そなたに専任してもらおうと考えておる」 その言葉に、壬生屋は驚いて、少しだけ目の前にいる年下の上司を凝視してしまった。入社してまだ一年も経っていない。秘書として一人立ちどころか、社会人としてすら至らぬ点も多い。そんな自分が、重役の専任など、咄嗟に信じられる筈も無かった。

他の秘書には、専任で業務を行っている者も一部確かに存在する。しかし彼らは非常に優れていて・・・・・・そんな者達と同じように働けるとは、強がりでも言える筈が無かった。「社長・・・・・・」「今は、舞で良い。これはまだ業務命令ではなく、我が個人的にそなたを推したいと考えているだけだ。そなたの率直な意見を聞かせて欲しい」 暗に、一個人壬生屋未央の本音を教えて欲しいと、言われていた。

142.ゆっきー > 続き

その言葉に、ふぅと彼女は息をつく。
「私は、まだ、専任になれる程の能力は持ち合わせておりませんわ」 今後は、分からない。出来ないとは言いたく無いが、けれど嘘をつく訳にもいかない。言葉を選びながら伝えた壬生屋に、今度こそ芝村舞は満面で自身の感情を示してみせた。満足であると、表情だけで伝えてみせた。
「ならば、良い」「・・・・・・舞?」
「正直な所、その者は秘書など必要としておらぬ。現に、これまで何人もの秘書を追い出したようだ。だからこそ、そなたを推したいのだ」 意味が分からず、壬生屋は封筒を凝視する。目を通せといわれたが、まだ中は開いていない。この中には、その専務取締役の情報が入っているのだろうと思うと、まだ見る気が起きなかった。話を聞くだけでは・・・・・・気難しい相手のようである。
舞はようやく壬生屋の方を見上げた。眼鏡の奥の大きな目が、壬生屋の青の目を射抜く。
「有能であればこそ、そなたに至らぬ点があっても補ってくれるだろう。そなたに必要なのは、知識と経験だ。その者はきっとそなたにそれを与えてくれるだろう。そなたは、自分にも世界にも正直であれば、それで良い」 
自分よりも遥かに年下の少女が、真っ直ぐな言葉で、言う。その内容は年下とは思えない。 だが、胸を打った。彼女だったからこそ、自分はこの会社に言われるままに入ったのだと、壬生屋は思い出す。ようやく決心がついて、壬生屋の白い細い指は、封筒の中にそうっと入って、中に在った書類をゆっくりと引張り出した。数にして数枚の、白い紙。一枚目の紙には、クリップで写真も付けられていた。どうも隠し撮りのようなその写真を、彼女はまじまじと見る。茶の髪、紫の瞳。端正な顔。
「だって・・・・・・だって私、この方を前にして、冷静に業務が出来そうにありません・・・」 そう言った壬生屋未央の顔は真っ赤で、さすがに無理強いは良く無いだろうと、芝村舞は今回の辞令を断念せざるを得なかった。 ・・・・・・のだが、まさかその立ち消えした筈の辞令が、後日やってきた専務取締役本人の意思によって執行されることになろうとは、この時の二人に想像出来る筈も無かった。
 紙の一番上にある名前を、壬生屋は辿る。
「瀬戸口、隆之」 経歴などは、見なかった。見る余裕は無かった。写真に吸い寄せられるように目線が固定されてしまったから。しばらくの沈黙の後、恐々とした面持ちで壬生屋は、自分の上司たる少女に、言った。
「やっぱり、私、このお話をお受け出来ません・・・・・・」 らしくないその弱い声に、ぴくりと芝村舞の柳眉が動く。「何故だ?」
( 5月7日(水) 2時5分 )
143.続き > 「だって・・・・・・だって私、この方を前にして、冷静に業務が出来そうにありません・・・」 そう言った壬生屋未央の顔は真っ赤で、さすがに無理強いは良く無いだろうと、芝村舞は今回の辞令を断念せざるを得なかった。 ・・・・・・のだが、まさかその立ち消えした筈の辞令が、後日やってきた専務取締役本人の意思によって執行されることになろうとは、この時の二人に想像出来る筈も無かった。 ( ( 5月10日(土) 2時14分 )

名前 内容

139.恭一様より投下SSです♪わーいお祝い?  
名前:ゆっきー    日付:4月13日(日) 23時39分


「絶対嫌です」
「そう言わず・・・・・・頼むよ」
「どうして私が」 
顔を赤く染めて、壬生屋未央は、恨めしそうに頭を下げてくる目の前の男を睨みつけた。
一体何を考えているのか、いつも不安に思っている目の前の相手・・・・・・瀬戸口隆之は、今日は引き下がるつもりは一切無いのか、下げた頭を下げる様子は無い。

本当に、嫌な方。
壬生屋未央は何度目になるか数えるのも嫌になった言葉を、また心の中で毒づいている自分を感じて益々顔をしかめた。
本当は、心の中ですらこんな言葉は言いたく無いのだ。
呟く度、自分がどんどん黒く染まっていくような気がするから。
元から綺麗な人間であると思う程彼女は傲慢でも子どもでもなかったが、しかし染まりたく無い程に大人でもなかった。

頭を下げたまま、絞り出すように瀬戸口隆之は言い募る。

「他にいないんだ。もう我慢出来そうに無い」
「嘘おっしゃらないで。一晩のお相手など、貴方には沢山いらっしゃるでしょう? 愛の伝道師様?」 

後半は嫌味な感じに聞こえただろうと壬生屋は思ったけれど、訂正する気も無かった。
普段からそんな事を言っているのは他でもない目の前の男なのだから。

それを本人も良く理解しているのだろう。
言われた瞬間びくりと肩を震わせて顔を上げ、壬生屋を見る。
前髪の向こうにある綺麗な紫の瞳が不安げに揺れているような気がして、思わず壬生屋は顔を背けた。
今そんな物を見てしまったら、心が揺らぎかねない。
いや間違いなく揺らぐ。

「すまん。俺は」
「聞きたくありません。他を当って下さいませ」

とにかく唯一つ、間違いなかったのは、彼女が目の前の不埒な男に特別な、たった一人に向けるべきである愛情を持っていると共に、彼を取り巻く他の女達と同列には決して並びたく無いと考えている事だった。
求める気持ちはあれど、同列は耐えられない。
同じ物を得られないのならいっそ離れる。
壬生屋未央はその選択を遥か昔にしていたから。

「壬生屋・・・・・・」

それでも、やはり目の前で声を聞いてしまえば揺らぐ気持ちは抑えられないけど。
傾きかける気持ちを抑えて、彼女はくるりと背中を向けた。これ以上この場所で会話を続けると、流されてしまいそうだった。

「生気は、他の方から頂いて下さいませ。私は貴方の食事になるつもりはありませんから」

それだけ言い捨てて、思い足を一歩ずつ踏み出せば、案外簡単に前に進んだ。どんどん男の気配は遠ざかったが、追ってくる気配はない。

「ほら、その程度でしょう?」 
声も無く壬生屋は呟いた。

立ち竦んでいた瀬戸口隆之の背後から、声がかかる。
「何やってんの、瀬戸口君ってば」 
呆れたようなその声に、ぎしりと音を立てそうな程に固い動きで、瀬戸口隆之は振り返った。
そこにいるのは、彼が良く知っている存在。
同族である所の、速水厚志。

「バンビちゃん」 
呼びかけた瀬戸口に、可愛らしい顔を歪めて速水厚志は言う。

「馬鹿だね。聞いてたけど・・・・・・全然言ってないの?」

辛辣だが、心優しい事を知っている知己の同胞に、瀬戸口隆之は顔を少し赤くして前髪をかきあげた。
「今更、どう言えってんだ」 
それは本音。
「ほんと、馬鹿だよ」
「あぁ、そうだな」
「そのままじゃ・・・・・・死ぬよ? それも近いうち」 

あえて、なのだろう。淡々と感情も見せずに明白な未来を突きつけてきた速水厚志に、瀬戸口隆之は
「それでもいいよ」
と笑った。

「アイツに殺されるなら、本望だ」 

どこか達観したその発言に、速水厚志は問答無用で目の前の馬鹿を殴り倒した。
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140.ゆっきー > 壬生屋に言えない理由がとっても気になりました。でもお互いに好きな気持ちもあってとても胸がドキドキ高鳴るお話v恭一様ありがとうございましたっ! ( 4月13日(日) 23時41分 )

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