書きかけSSを捨てておくので誰かどうにかするよろし。
国鉄初音島線が、駅舎予定地の買収まですまされながら、結局着工されなかった理由は、正確にはよくはわかっていない。 住民の反対運動もなく、採算の取れない路線でもない。ただ、何故か毎年、路線用地の買収が後回しとされた。 理由は色々だ。災害による既成路線の復旧費用を捻出するため。書類の不備が見つかった。関係者全員がど忘れしていた。 それはしかし、国鉄が本腰を入れてかかるのならばなんの問題にもならない程度の理由でしかなく、結局、国鉄はなんとなく初音島線を忌避していた言うほかなかった。 結局、1987年の国鉄民営化の際に正式に計画が消滅するまで、30年以上に渡って初音島線の用地買収は停滞し続けた。 その本当の理由を、今、アイシアは知っている。 その路線の予定地に、ひとりの魔女が住み着いていたからだ。立ち退きにあって引っ越すことを、魔女は億劫だと思った。だから、計画を頓挫させた。それは彼女ほどの魔女にとっては造作もないことだった。 彼女のわがままのために一体どれだけの損失が出たのか、それを計算する術をアイシアは持たない。だが、旅慣れたアイシアは知っている。鉄道がどれほど便利なものか。辺鄙な土地に住む人々の生活が、鉄道一つでどれだけ変わるのか。 アイシアには、もちろん彼女を見過ごすつもりなど最初からない。だが、もうひとつ、彼女を許せない理由が増えた。
駅舎の予定地には、いつからか桜の木立が生えていた。これが後に初音島の名物、枯れない桜となる桜なのだ。 だが。 「ごめんなさい……」 アイシアは、桜に謝罪する。
114.145.162.43
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