抜けるように澄んだ高い蒼穹を振り仰ぎ、風が運ぶ草の香にテオは軽く瞳を細めた。柔らかい陽光は暖かく、さやかな風が程よい涼ももらたす。このような天気ならば木陰でのんびりと午睡と洒落こむのが何より相応しいだろう。 だが、彼はこれからこの陽気に最もそぐわない行為をなそうとしているのだ。それでも、テオはそれを悔いてはいないし嘆いてもいない。少々「あー、昼寝したかったな」と惜しむ程度だ。 頭上から後方へと視線を移す。人馬の群れの中に一際目を引く鮮やかな青。そしてそれに添う白。 テオの口元がゆっくりと弧を描く。あの二色の為であれば澄んだ頭上の碧を血色に染め替える事など躊躇うものでも惜しむものでもない。むしろ誇りにすら思う。あの二色こそがテオにとっての最上の色だ。 もういちど至上の二色を瞳に映してからテオは前方を見据え、腰に佩いた剣を抜いて頭上に掲げる。 瞬間、広がる蒼穹を鋭き鋼の煌きが切り裂いた。
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