放課後の教室。空が暗くなり始める頃、その教室には一人の男が待っているはずだった。扉のドアを開き、教室に一人の男子生徒は入った。男子生徒は口を開いた。 「なんですか? 委員長」 その一目見ただけではモデルではないか、と疑わせる容姿の男子生徒はしかし、目だけが冷たく輝いていた。 委員長と呼ばれた男は、今入ってきた男子生徒に向かっていった。 「次は中学三年D組の安岡美保だ。君と同じ学年だな、神崎君」 神崎と呼ばれた男は頷き、小さな声で了解しました、といい、委員長に言った。 「委員長、高三の山下さんは?」 委員長は少し目を閉じ、何かを考えた後、告げた。 「彼女は昨日、終らせた。同じクラスだったから案外やりやすかったよ。そうだ一応今執行中のメンバーの名簿を渡しとく」 そういって委員長は自分のカバンからプリントを取り出し、神崎に渡した。 神崎はそのプリントを一通り見るとそこには数名の実行中メンバーとそのターゲットの名前が書いてあった。 「ありがとうございます、では、失礼します」 そういって教室をあとにしようとすると、後ろから委員長の声がした。 「君は今のところ一番成績がいいから、これからも頼むよ」 一度振り向き目礼した後、神崎は教室を出た。 この学校には合計八個の委員会がある。その中でも一番人数が多いといわれているのは神埼も所属している風紀委員会である。風紀委員会の中でも様々な役割に分かれている。 神崎が所属しているのはその中でも一番特別なポジションで、なおかつ他の生徒にはほとんどその活動内容を知らないという謎が多い風紀委員会特別執行部である。同じ委員会の中でも、委員長、副委員長、そのほか高二以上の委員しか活動内容を知らない。 神崎を含め風紀委員会特別執行部に所属しているのは4人しかいない、主に中学担当の二人と、高校担当の二人である。風紀委員会特別執行部に選ばれるのは、毎年数人しか入学してこないほどの美男子である。それにその仕事を快く引き受けてくれる人は毎年一人いるかいないか。しかし神崎はその仕事を快く受けた。 風紀委員会特別執行部の活動内容は主に「調子にのっている女子生徒を改心させる」という事である。調子に乗っている、というのはわかりやすく言うと軟派。要は他校の文化祭でたびたびナンパを繰り返したり校内でも男子生徒を弄ぶような事をすることである。 それが度を過ぎると風紀委員会特別執行員の出番である。はじめ執行員は相手をその気にさせるために近寄っていく、執行員は学校でトップクラスの容姿を持つため、すぐその対象者はその気になってしまう。そして相手が「告白」するときにすべてをいい、改心させる、という仕事である。 相手はその気になっているためショックが強く、立ち直れなくなる事はあるが、今までのようにナンパを繰り返したりする事はなくなる。 このため、執行員は強い神経を必要とする、人を傷つける事もさることながら、風紀委員会特別執行員である以上、普通の恋愛は高校卒業まで出来ないのだ、人生で一番の青春のときを学校に捧げるのだから、彼等を動かしているのは使命感だけ、といえる。 明日から作戦開始だ。神崎は心の中で思った。
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