第六話「集会」
満月の夜に開かれる、闇の集会。 そこに、わたしはいる。 血の色に染まる招待状を持って。
「あら、遅かったわね…ベス2世ちゃん」 最近よく街にはられる紙で見る女…集会所の女主人ことルザリーがわたしを出迎えた。 「2世じゃない。わたしはベス」 「愛しのお母様から二つ名を引き継いだんでしたっけ?まあ、貴女が望むならベスと呼んであげるわ」 ルザリーはわたしの仮面をとると、顔を赤らめて妖艶に微笑んだ。 「うふっ・・・流石は亡きベスの娘ね。食べちゃいたいぐらいだわ・・・」 「相変わらずルザリーさんは趣味が悪いね」 「貴女と貴方のお母様が美しすぎるのがいけないのよ」 ルザリーに導かれるまま階段を下りると、蝋燭がところどころを照らすだけの暗い、いつもの部屋にたどり着いた。 「みんな揃ってるわ。早く席につきなさい」 「分かってる」 古びた木の椅子に座ると、隣に座っているグラシエが声をかけてきた。 「今日は遅いね。また派手に盗んだの?」 「ガラクタしか見つかってないけど」 「相変わらず荒い手口で攻めてるんだね。あたしみたいに潜入してこっそり奪っちゃえばいいのに」 「結果同じようなこと。どうせ捕まらないからいいの」 「ま、あんたにはあの人の血が流れてるからね。失敗はしないと思うけど、あんまり派手にやると怒られるよ・・・ガルトに」 「別にいい」 「ちょっとは義理の妹のあたしの都合も考えてよね」 「グラシエに恩を売られた覚えはないから」 「もう。相変わらずあの人以外には冷たいね」 グラシエは悪友。幼いころにグラシエが盗みに失敗しそうになったのを母さんに頼まれてわたしが仕方なく助けたのがはじまり。それ以来グラシエとは情報交換を定期的にしている。いわゆる仕事仲間のようなもの。でもわたしはあまりこの仔が好きじゃない。どこか、幼馴染に似たフシがあるから。 「おやおや、また遅刻かい?お嬢ちゃん」 と、ガルトの声が聞こえた。 「あ、お義兄ちゃんじゃない。どうしたの?その腫れた顔は」 「ちょっとサツに追われたんだ。しかも裏の方の」 サツ・・・か。・・・そういえば、幼馴染も・・・あっち側にいっちゃったんだっけ。幼馴染には結構恩があるから、あんまり敵にしたくなかったんだけど・・・仕方ない。そうなったらそうなったで、何かしら手をうってわたしとの対峙は避けるようにすればいい。 「そりゃ災難だったね」 「そんなことよりお嬢ちゃん。また派手に表のサツを動かしたな」 ガルトが近づいてくる。相変わらずこいつの恋人のせいで酒臭い。 「貴方が表の警察を避けて計画をすすめてるのが悪い。そういう弱いやり方をするのは貴方だけ。他の人には迷惑かけてないから平気」 「お嬢ちゃんなぁ・・・私の表向きの仕事はサツなんだから、あんまり裏の仕事を嗅ぎまわられると困るんだよ、色々と」 「わたしは知らない。貴方が何とかすればいい話」 「・・・怒りの矛先をお嬢ちゃんに向けた私がバカだった。話にならん」
ガルトが席に着くと、ルザリーが舞台の上に現れた。 「ようやく役者がそろったわね。では・・・、始めましょう?」
それから3時間ほどたち、ようやくわたしは帰路にたった。 今日はひどいものだった。乱暴者の奴らが会議中に乱闘をいきなりはじめて、わたしも少しだが負傷した。まあグラシエがうまくとめてくれたからよかったものの、あのような輩を何故ルザリーは呼んでいるのかより一層疑問に思った。まあ、価値のある情報が手に入ったからいいけど。
わたしは仮面をつけ、地面を一蹴りして宙を舞った。母さんが残してくれた、この力。それさえあればきっと見つけられる。
母さんの、大事な宝石を。
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