数分後、僕は窒息して気絶していました。ところが、無理やり起こされてしまうのです。そしてまた気絶して・・・・。
「おぼっちゃま、支配人様の御願いを聞いて下さい。さもないと、私は、ずっと、おぼっちゃまに御仕置きを続けねばなりません。お願いです・・・。」
そして僕は何度目かの気絶をしました。いえ、意識は朦朧としていましたが耳は聞こえました。
「ママ、何をやらせているの! 心配になってゼミをサボって戻ってきたら・・・・良を殺す積もり?」
バシン! と大きな音がしました。 そして、氏家希美子様の悲鳴が聞こえたのです。
「瑶子ちゃん、リョウちゃんが悪いのよ。また、外の世界に出たいと駄々をこねるのよ! 瑶子ちゃんは、リョウちゃんが死んでも良いと言うの?」 「ママ、言い難いことだけど、この際、ハッキリ言わせて貰うわ! リョウ兄ちゃんを殺したのはママよ! ママが余りに過保護にしたから、リョウ兄ちゃんが世間知らずになって、そして、ヤクザなんかとやらなくてもよい喧嘩をして死んでしまったのよ!」
氏家希美子さんの泣き声が聞こえてきます。
「ママ、この今西良ちゃんは、リョウ兄ちゃんよりずっと小さくてか弱いわ。でも今西良ちゃんは、一人で立派に生きているわ! この今西良ちゃん、ハッキリ言って小さくて何の価値もなさそうだけれども、一人で生きているのよ!」
そして、僕は本当に気を失いました。そして、目が覚めた時、小嶋さんと君島さんの心配そうな顔が見えました。そして、その上空には心配そうに僕を見守る巨大な顔がありました。氏家希美子様と瑶子様です。
「今西良さん、ご免なさい。ママを許してやって。」 「今西良さん、ご免なさい。私は本当に愚かな母親でした。もう半分以上、狂っていたのです。でも、それに気づかせてくれたのは、今西良さんのお陰ですわ。」 「今西良さん、ママはね、仕事に打ち込んでいる時はマトモそうだったけれど、どっか狂っていたのよ。本人がそれに気づいてくれれば、もう大丈夫よ。」
僕のような矮化病患者で、しかも男娼などというクズに、高貴な健常者様が二人揃って頭を下げられても困ります。恐縮どころの騒ぎではありません。
「良クン、氏家希美子様は、君にお詫びと御礼をなさりたいと仰っているよ。遠慮しないで希望を言いなさい。」 「君島さん、そんな・・・・。僕は御礼に値する何事も行っていません。」 「そんな事は無いよ。希美子様も瑶子様も本当に良クンには感謝しているんだよ。」
結局、僕は氏家希美子様に三つの御願いをしました。残念ながら、三つの御願いのうちの一つは叶えられませんでしたが、二つは叶えられました。叶えられなかった三つ目の願いは僕が自力でやらねばならないでしょう。
「今西良さん、私を本当のママだと思っていつでも戻って来てね。いえ御免なさい・・・。」
矮化病世界シリーズ「僕を嬲り愛した女たち」 第五章 人材派遣会社幹部社員 氏家希美子(うじいえ・きみこ 38歳)平成22年4月27日 了
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